「いつも自分なんかと思ってしまう」
「自分は何も成功できないような気がする」
「自信が持てず、失敗するイメージしかわかない」
こんな思いを抱えている方は自己肯定感が低下している状態であるかもしれません。
アダルトチルドレンの傾向をお持ちの方の中には、自己肯定感の低さに悩まれている方も多くいらっしゃいます。
では、そもそも自己肯定感とはどんな感覚で、低いとどんなことが起こるのでしょうか?
自己肯定感とは、自分に対する態度・評価・感情である
現在、自己肯定感と呼ばれてよく知られている概念は、元々は<自尊感情>や<自尊心>という表現で心理学の中で扱われていました。
全て英語のself-esteemの訳であることから、同じものを指していると考えられます。
明確な定義がある言葉ではないのですが、イメージしているものが違うと話が分かりにくくなってしまうと思いますので、まずは自己肯定感について共通の認識を持っていきましょう。
皆さんは<自尊心が高い>と聞くとどんなイメージがあるでしょうか。
傲慢?プライドが高い?人を見下している?自分に自信がある?
そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、このページで使っている<自尊心>はこのようなイメージとは少し違います。
自尊心や自尊感情が高いということは
自分のいいところもダメなところも肯定的に捉えることが出来る
ということです。
つまり、自分を尊重できる感覚なんですよね。
これは
「〇〇が出来るから自分には価値がある(条件付きの価値)」
「周りに褒められたから自分の□□というところは良い(他者からみた価値)」
ということではなく
「自分は自分のままで、何等かの価値を有している(自分からみた価値)」
ということです。
自己肯定感は高すぎても低すぎても問題が生じます。
例えば、いくらありのままの自分を認めるといっても
ありのままの自分で全てOK!
だから〇〇が出来なくても仕方ないよね?みんな許してね?
だって仕方ないんだもん!
……これでは社会は回っていきませんよね。
周りの人が困ってしまって、どんどん人は離れていってしまうかもしれません。
逆に
自分は何も出来ない、人に迷惑をかけてばっかり
〇〇は出来るって言ってくれる人もいるけれど
それもお世辞だし、自分より出来る人はいっぱいいる
……こんな風に考えると、どんどんしんどくなっていってしまいます。
この場合も周りの人は、何を言ってもネガティブに捉えられるため快くはないでしょう。
ここまでお伝えしてきた通り、自己肯定感は<人と比べて>というものではありません。
自分が、自分に対して、どう感じているのかというものです。
そのため、自己肯定感の高低によって、誰かより優れているとか、誰かより劣っている、という意味にはなりません。
自己肯定感が低い人にはどんな特徴があるのか
それでは、実際に自己肯定感が低いとどんな特徴があり、どんな課題に直面するのでしょうか。
感情に振り回されやすい
自己肯定感が低いと、周りや周囲の状況によって感情が振り回されやすくなってしまいます。
これは自分を認める感覚が低いことで、【自分の評価基準】が持てていないためです。
いいことがあったり、成功して褒められたりするとなんでもできる気がする。だけど、悪いことがあったり、怒られたりすると気分がしずんで何も出来なくなってしまう。
周りからの評価や起こった出来事によって一喜一憂する幅が大きいと、自分の気持ちを自分でコントロールすることが難しく、疲れてしまいます。
完璧主義になりやすい
自己肯定感が低い人は、そのままの自分を認められないため、より完璧であることを求めます。
また、他者からの批判に対してとても敏感で「失敗したらどうしよう」「嫌われたらどうしよう」という不安も強い傾向にあります。
なぜなら<失敗する自分には価値がない、嫌われる自分には価値がない>と感じてしまうためです。
それによって、絶対に失敗しないように、全ての人から批判を受けないように、物事を完璧にこなそうという完璧主義に繋がっていくことがあります。
物事には「絶対」も「完璧」もありません。「全ての人に受け入れられる意見」も存在しません。
完璧に見える人だって、その完璧さ故に嫌われることがあります。
完璧主義になってしまうと、手に入らないものを求めてもがき続けることになります。
完璧を求め続ける限り失敗し続け、満足感を得られず、自己肯定感はさらに低下していってしまうのです。
成功する・褒められるイメージがもちづらい
自己肯定感が低いと、「自分が成功するはずがない」「自分はダメだ」という思い込みを持ちやすくなってしまいます。
新しいことに挑戦する機会があっても、自分が成功するイメージが持てず積極的に挑戦することが出来ません。さらに、成功するイメージがないままに、失敗を恐れながら取り組むことになり、持っている力を十分に発揮できなくなってしまうことにもなりやすいのです。
そのうえ、もし成功して周りからの評価が得られたとしても、「自分はダメだ」という自分自身の評価と一致しないので、不快感や違和感があって素直に受け取ることが出来ません。
また、挑戦には失敗がつきものです。
本来であれば失敗したとしてもその経験を次に生かせば良いのですが、自己肯定感が低いと<失敗=自分の否定>と捉えやすく、さらに挑戦することに対してネガティブになってしまうことにも繋がります。
自己肯定感を高めるために
現在、自己肯定感が低い人は、今からでも少しずつ高めていくことが出来ます。
そのために日常生活の中で取り組めることを少しだけご紹介しますね。
自分と小さな約束事をする
自分が継続して取り組めるくらいの小さな約束事をしてみましょう。
例えば
・毎日決まった時間に起きる
・1日15分だけ散歩する
・笑顔であいさつをする
・出したものはもとの場所に戻す
・深呼吸を意識する
・1日3食食べる
些細な事、小さなことで構いません。自分が取り組めそうなものであればなんでも大丈夫です。
大事なポイントは2つ。
・約束事は自分で決めること
・毎日取り組めるような小さな約束にすること
自己肯定感の低い方は、自分が飛び越えなければいけないハードルを高く設定しがちですので、思っているよりもさらに簡単なことで構いません。「こんなことでいいの?」と思うかもしれませんが、そんなことで大丈夫です。
自分で決めたことを自分で守ることを積み重ねることが、自己肯定感を高めることへとつながっていきます。
出来たことを記録する
自分が出来たことを、手帳やスマホのスケジュールアプリなどに記録してみてください。
これもどんなに簡単なことでも構いません。
・早起きできた
・朝ごはんを作った
・仕事に行った
・笑顔で挨拶ができた など
最初は見つけるのが難しいかもしれませんが、出来るだけ細かく書いていくことがおススメです。
例えば、「早起きできた」だけでも
・7時に起きた
・アラーム1回で起きた
・ベッドからすぐに出られた
・起きてすぐにカーテンを開けた
などたくさんの行動に分解できるかと思います。
これまで「出来ない」という部分に目を向け続けてきて、自己肯定感が低下しているため、「出来る」部分に意識的に目をむけていくことが大切です。
アダルトチルドレンの方は自己肯定感が持ちづらい
アダルトチルドレンの方が自己肯定感を持ちづらいのは、小さいころから日常生活の中で少しずつ少しずつ自分を認める感覚が奪われてしまっているためです。
自分の選択を否定されたり、最初から選択させてもらえなかったり
自分がダメであると言われ続けていたり、親に従っている間だけ大切にしてもらえたり……
そんな積み重ねから、自分を自分のままで認められなくなってしまいます。
しかし、自己肯定感は高めていくことが可能な感覚です。
まずは、ここでお伝えしたいくつかの方法を試してみてください。自分では難しかったり、話しながら自分にあった方法を探していきたいと思われる方は、カウンセリングでは共に考えていくことができればと思います。
「頼まれると断れない、人に気を遣って疲れてしまう」 「自分の周りで起きていることに対して、自分が悪いと感じてしまう」 「不安が強くて新しいことに挑戦できない」 「日常生活の中で漠然とした不安や生きづらさがある」 このよう …