つい周りに合わせてしまい、自分の気持ちが言えない【過剰適応】

頑張りすぎてしまい、疲れてしまう人たち

私たちが生きていく中で
少なからず「頑張ること」というのは求められるかと思います。
しかし、自分を追い込んで頑張りすぎてしまうと
”イライラする””疲れが取れない””気持ちが落ち着かない”など
こころの不調につながってしまうことになります。

心理学の世界で、「適応している」とは
環境に求められているように自分を変化させたうえで
自分の欲求や気持ちも満たされている状態であることを指します。

これは、内的適応外的適応のどちらもがバランス良く保たれている状態です。

内的適応
自分の内側にある気持ちや欲求が認められ、受け止められており
こころの状態が安定していること

外的適応
自分の周囲の環境からの期待や要求に対して
自分の役割に応じて従おうとすること

この外的適応がうまくいかず、周囲の期待や要求に応えられないために
内的適応もうまくいかなくなった状態が「不適応」であると考えられています。

一方で、上記のような
自分を追い込んで頑張りすぎてしまう人はどうでしょうか。

周りの期待に応えようと頑張りすぎてしまうため
外的適応は過剰なほど出来ているように思われます。
しかし、自分を追い込み、自身の不調に目が向かなくなってしまっていることから
内的適応はうまくいっていなさそうですよね。

このように、なんらかの要因で外的適応が過剰なほどに強く
その結果内的適応が保たれていない人たちは「過剰適応」と呼ばれています。
そして、これらの人たちは外的適応は出来ているため
周囲からは何の問題も抱えていないと思われてしまいやすくなっています。
そのまま放っておいてしまうと、こころの調子を崩してしまうことなります。

周りからの要求や期待に
完全に近い形で応えようと努力する(外的適応が過剰)ため
周りの人たちからはなにも問題がないように見える(社会に適応しているようにみえる)けれども
内側にある自分の気持ちや欲求を必要以上に抑え込んでいる(内的適応が不良)ため
本人の中では自分らしくあることが出来ていない(自分として社会に適応できていない)

この概念は、とても日本的であり、欧米ではほとんどみられないものです。

また、このような性質を持っている人は
”まじめ””几帳面””責任感が強い””人から頼まれると嫌とは言えない”などの
特徴があるとされています。

過剰適応の2つのタイプ

過剰適応には2つのタイプがあると考えられます(日潟, 2016)。
「自分らしさがない」タイプと「自分らしさはある」タイプです。

自分らしさがないタイプ

このタイプの課題は
”自分らしい”ということがどういうことか分からない、自分に自信が持てないことです。
それによって、自分で選ぶことや考えることが難しく
周りに合わせることしかできないために外的適応が過剰であると考えられています。

このタイプの過剰適応の方は
そもそもの自分に対する捉え方や感じ方にアプローチする必要があります。
この自分に対する捉え方や感じ方には
アイデンティティや親子関係、性格特性や精神的な疾患など様々な要素が絡み合っていることが
推測されます。

自分らしさはあるタイプ

このタイプは、自分はこうしたい/したくない、という思いは持っていますが
何らかの要因によって過剰に外的適応を行わなければならず
それによって自分の思いが妨げられることが課題になっています。

このタイプの過剰適応の方は
自分らしさを押し殺してまで外的な適応が求められている理由は何なのかということを
考えて、その部分にアプローチしていく必要があります。
この要因についても
対人スキルの弱さや、周囲への認知の歪みなど様々な可能性が挙げられます。

過剰適応から抜け出すためには

それでは過剰適応から抜け出すためにはどうしたらいいのでしょうか。

過剰適応傾向を持つ人は”その傾向を明確に意識すること”によって
心理的な不適応を回避できる(藤井・高橋, 2014)とされています。

過剰適応に陥っている人は
周囲に気付かれづらいだけではなく、自分でも気付きにくいことも特徴です。
特に小さいころから”いい子”であった人たちはそういった傾向が強いと考えられます。

まずは、「自分は周りの期待や要求に必要以上に応えようとしすぎているかもしれない」
「これは本当に私の気持ちや欲求を抑えなければいけないことなのか」ということを
考えることから始めるのが良いかもしれません。

また、「自分らしさのない」タイプの方は
”自分の気持ちや欲求”を捉えることが苦手であるため
自分の感じ方や考え方を探っていくことも必要であると思います。

「自分らしさはある」タイプの方は
”自分はこうしたい”という思いはあるものの
その思いと周囲からの期待のバランスをとることが苦手です。
うまくバランスをとるためのスキルや考え方を身につけられると良いかもしれません。

どちらのタイプの方も
周りに合わせてしまうのをなんとかしたいという思いがあるようでしたら
ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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