頼まれごとをされるのが嫌
言われなかったらやってたのに、言われたらやりたくなくなる
自分が軽くみられてる気がする

社会の中で生活していると、周りから何かを頼まれたり頼んだりということがよくありますよね。
しかし、相手や状況によってはイライラしたり、嫌な気持ちになることもあります。
その時私たちの中ではどんな心理が働いているのでしょうか?

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人間は周りからあれこれ言われるのが苦手

そもそも、人間がもってる心理的な特徴の1つに周りから指示されることや命令されることへの抵抗があります。
これは<心理的リアクタンス>と呼ばれるものです。

心理的リアクタンス
個人が特定の自由を侵害されたときに喚起される、自由回復を志向した動機的状態。
つまり、自分の自由が脅かされたと感じると、人はそれに抵抗しようとするこころの動きが発生するということです。
例えば、子どもに「宿題やりなさい」「片付けしなさい」と親はよく声をかけますが、これは子どもの「宿題をやらない自由」「片付けをしない自由」が侵害されているため、その自由を取り戻すために子どもは反抗するという行動に結びつきます。
逆に、ゲームがとても好きな子どもに対して毎日「今日はゲームしないの?」「ゲームは1日3時間やらないとダメでしょ」と声をかけているとゲームをしたくなくなるとも言われています。
そのくらい、人は周りに縛られることが嫌いな生き物なのです。

頼み事をされるとイラッとするのは?

<心理的リアクタンス>がある以上、私たちが頼み事に対して多少なりとも抵抗を覚えるのは仕方のないことのように思われます。

では、どうして人によってイライラの度合いが違ったり、イライラする場合としない場合があったりするのでしょう?

頼み事は断ってはいけないという考えをもっている場合

人から頼まれたことは断ってはいけない、という考えを持っている人は頼み事に対してイライラしやすいことが予測されます。
なぜなら頼まれた時点で、それを引き受けないという選択肢は存在していないからです。

自分の自由に使えたはずの時間やコストを頼まれごとのために費やさなければならないとなると、イライラするのも当然ですよね。

しかし、本来頼み事は受けても断ってもいいものです。その自由は命令ではなく頼み事である限り、基本的に侵害されていません。
そのため、自分の意思でお願いを断ることの出来る人にとっては自由が侵害されたと感じないことも多く、特にイライラすることもないのです。

この場合は、自分の自由でやる・やらないを選択してもいいという感覚を持つことが出来れば、イライラすることは減っていくと思われます。

このように、その人の考え方や物事に対する価値観などによって、抵抗感に個人差が生じるとされています。

相手の頼み方に問題がある場合

①頼み方が雑
②自分に頼む理由が分からない
③頼まれごとの詳細が分からない

こういった状況では、イライラの度合いは高くなることが推測されます。

①頼み方が雑
「これやっといてー」「あの件お願いしてもいいかな」など指示語でざっくりとしたお願いには抵抗感が生じやすいかと思います。
なぜなら、自分の自由が侵害されうる意味が全く分からないからです。
頼み事を引き受けるということは、少なからず自分の時間とコストを相手のために費やすことになります。
意味がわからないことに対しては全く費やしたくないですよね。

同様に、自分を軽視していると感じられる対応(「友達だからタダでいいよね」「あなたならすぐ終わるでしょ」等)に対してもイライラは高まりやすいと考えられます。
これも自分の時間とコストを、自分を大切にしてくれていない相手のために割くことはストレスに他ならないためです。

②自分に頼む理由が分からない
①と似た部分もあるのですが、自分に頼んでくる理由がはっきりしない場合は、イライラしやすくなります。
誰でも良かったけど自分が暇そうに見えたのか、頼みやすかったのか……。それは自分の時間やコストが軽視されていることに繋がりますからね。
一方で、自分にしか頼めない、という内容のものであれば比較的イライラせずに引き受けることが出来る場面が多いのではないかと思います。
人間には承認欲求があるためです。周りに認められたい、必要とされたいという感覚ですね。
自分には出来ないことで、あなたにしか頼めないことであるという理由をちゃんと説明してもらえれば、引き受ける側としても気持ちよく引き受けるやすいですよね。

③頼まれごとの詳細がわからない
詳細がわからないことには、それが自分に引き受けられることなのか、難しいことなのか、どのくらいの時間がかかるのか、全く予想ができません。
予想ができないということは、自分の自由がどの程度侵害されるのかが分からないということです。
それでは抵抗感が上がっても仕方ないですよね。
「今度の土曜日あいてるー?」と言われても、(空いてはいるけど、何をするかによって参加するかは変わるんだけど……)と思うのと少し似ているかもしれません。

これらの場合は、相手に頼み方を変えてもらうよう伝えることによって、イライラせずに過ごすことが出来るかもしれません。
ただし、自分を軽視している相手の場合はこれからの付き合い方を考えるのも1つかと思います。

頼み事とうまく付き合っていく

以上が頼み事に対してイライラしてしまうときの心理でした。
私たちが社会のなかで生活していくにあたって、頼んだり頼まれたりすることはどうしても出てくると思います。人はそれぞれ得意不得意、出来ること出来ないことがあり、それを補い合いながら集団生活をしているためです。

だからこそ、頼み事とうまく距離をとって付き合っていくことが大切ですよね。

自分が誰かに頼み事をするときも、頼み事をされるときも、お互いが快く過ごせることが一番。

頼み事に対する自分の考え方を見直してみたいと感じられた方は、1度カウンセリングも検討してみて頂ければと思います。