「回避依存症ってどういう状態?」
「人と付き合うのを避けるのが回避依存症?」
「彼氏・彼女がモラハラ気質だけれど、回避依存症なのだろうか?」
恋愛依存症の傾向の1つに、回避依存症と呼ばれるものがあります。
また、回避依存症も大きな傾向の括りであり、その中には異なる4つのパターンがあるとされています。
では、回避依存症とはどんな状態で、4つのパターンには何があるのでしょうか?
回避依存症ってどんな状態?
”回避”という言葉から連想すると、人づきあいを避けて孤独を好む人のように感じられるかもしれません。
しかし、回避依存症の方は一定の距離までは逆に人当たりが良かったり、積極的に周りとコミュニケーションを取ったりすることもあります。
全ての人間関係を回避するわけではありません。
ただし、相手との距離が縮まり、親密な関係になりそうになると急に心のシャッターを下ろしてしまいます。
つまり<相手と深い人間関係を築くこと>を回避しているのです。
その結果、表面的な関係性ばかりになってしまったり、近しい相手と健全な関係を築けなくなってしまっています。
周りと仲良くなりたくないわけではないので、自分から近づいていくこともあるものの、一定以上の距離には近づいてほしくない。相手と親密になればなるほど、それを回避しようとする行動が出てきてしまうのが、回避依存症の特徴です。
例えば、<2人で遊びに行くことを提案したら急に連絡が取れなくなった><友達の時はすごく優しかったのに付き合い始めてからDVやモラハラが始まった>などは回避依存症の傾向がみられる行動です。
回避依存症の4つのタイプ
これらの4つのタイプは、それぞれ性格や人との接し方が異なります。
しかし便宜上4つのタイプに分けられているものの、1人につき1つのタイプというわけではなく、複数のタイプに当てはまる方も多いです。
それでは、それぞれのタイプについてみてみましょう。
脱走者タイプ
脱走者タイプは、回避依存症の中で一番イメージに合うタイプかもしれません。
- 「束縛」されることをとにかく嫌う、約束を決めることも束縛に感じる
- 何かを要求されることを拒む
- 隠し事が多い、自分の気持ちや普段の行動などを話したがらない
- 好意を伝えられれば伝えられるほど、気持ちが冷める
- 急に連絡を返さなくなる、連絡が取れなくなる
自分と相手との間の距離感を非常に大事にするため、たとえ親しい間柄だったとしてもパーソナルスペースに遠慮なく入ってこられると距離を置こうとします。
人を根本的には信頼しておらず自己肯定感も低いため、<自分の本音を伝える=嫌われる>と感じています。
その結果、親しくなるにつれて<これ以上自分のことを知られると相手に嫌われてしまう><裏切られたり離れていかれてしまったらどうしよう><そうなって傷つく前に自分から離れてしまおう>と考え、傷つく前に相手から距離を置いて、自分のこころを守っているのです。
しかし、相手から距離を置いてしばらくすると気持ちも落ち着いてきます。気持ちが落ち着くと、やはり相手と仲良くしたいと感じ、再度何事もなかったかのように近づこうとします。
相手からすると、急に連絡が取れなくなったりそっけなくなったりしたと思ったら、またよく分からないままに距離を詰められる……と意味が分からず、不安ばかりが高まっていきます。
そのうちに相手が離れていくと、<やっぱり離れていってしまった><自分から先に離れておいた方がいい>と結果だけを見て自分の行動を強化していってしまうのです。
周囲の人と親しくなってくると、関係を続けるのが嫌になり、逃げたくなってしまう。誰とも親しい仲になれない。そんなあなたは、実は回避依存の傾向があるかもしれません。人間関係を表面的に終わらせてしまわないためには、どうしたらいいのでしょうか。
独裁者タイプ
独裁者タイプは、上下関係を作って相手をコントロールしようとするタイプです。
- 相手が自分の思う通りの行動を取らないと気が済まない
- 人には「ああしろ」「こうしろ」と命令するが、自分がされるのは気に食わない
- 非常に自己中心的であり、自分が相手に正しいことを教えてやっていると思っている
- <不機嫌であること>や<自分の言うことをきかないと大変なことになるということ>をアピールする
- 相手の行動を常に監視し、日常的に精神的・身体的に相手を傷付ける
自分のパーソナルスペースに入ってこられることを嫌がるのは、脱走者タイプと同様です。
ただし、パーソナルスペースに入ってこられないために自分から距離を置くのではなく、入ってこようとした相手を無理やり排除しようとします。そのために<モラハラ>や<精神的・身体的DV>を用いて主従関係を作り上げていくのです。
自分の非は認めず問題を棚上げする一方で、相手の非は必要以上に責め立て、非がない状態でも自分の思う通りにいかないと相手を攻撃します。ひとたび自分が否定されたと思ったら、実際にそうではなかったとしても、とんでもない剣幕で怒り、自分がされたと感じた以上に相手を否定し、傷付けることで自分を守っています。
こうした行動の裏には、<人から支配されたくない>という思いがあり、<支配される前に支配してしまおう>と相手へのコントロールを強めていってしまうとされています。
回避依存症の中でも、独裁者タイプの方は相手をコントロールしようとするあまり、モラハラやフキハラ、DVにつながりやすい危険があります。対等な関係性を築きにくく、人間関係がうまくいかないことも特徴です。気になる方は一度ご相談ください。
搾取者タイプ
搾取者タイプは、相手を自分の都合のいいように利用するタイプです。
- 物を頼むときには優しくなる・甘える
- お願いを断ると、拗ねたり落ち込んだり怒ったりする。要求が通るまでネチネチと責める。
- 相手からのお願いは理由をつけて断り、のむことができない
- 子どもっぽく、わがまま。相手の同情を誘って要求と通そうとする。
- 相手に対して<特別感>を出す
独裁者タイプのように上下関係を作るのではなく、相手の<同情心>や<不安>をうまく利用して、自分にとって都合がいい状況を作り出そうとします。自分は得るものが多いが相手は何も得られず失うものが多い、という状況をうまく作り、使う側・使われる側という関係性を構築します。
搾取者タイプからのお願いを断ると、「愛」「真実」「誠意」などという言葉を巧みに使い、自分が不幸であることを主張して、相手に罪悪感や後悔・同情を植え付けます。そうして、はっきりと何かを突きつけないままに、相手から同意を引き出し、要求が通ると先ほどまでの振る舞いが嘘のように優しくなるのです。
こうして、不安⇔幸福を繰り返すことによって相手を依存させ、コントロールしていきます。
ナルシストタイプ
ナルシストタイプは、自分が特別な人間であるとみられたいタイプです。
- <理想>へのこだわりが強く、現実とのギャップが大きい
- 自分に批判してくる人・指摘をしてくる人など、自分に対して否定的な人には攻撃的
- 自分の自慢話をすることが好きで、相手の話はあまり聞かない
- 自分は特別であり、何かを成し遂げられると根拠なく信じている
- <自分の好み>から少しでも外れると、不満を言ったり不機嫌になったりする
ナルシストタイプは一見自分に自身がある人のように見えますが、本質としては自己肯定感が非常に低いタイプです。自分に自信がないために、恥をかかないよう、傷つかないよう、自分を大きく特別であるようにみせて守っています。
自分で自分のことを認めることが出来ないため、周りから称賛されることを求めて行動します。周りから自分が褒められる・認められることが最優先であるため、自分の話ばかりし、相手に興味はありません。また、自分を否定してくる相手は敵とみなし、攻撃的な行動に出ることになります。
ただし、どれだけ他者から褒められたとしても、本質的には自分を認められないナルシストタイプの方は満たされることはありません。
回避依存症の原因
回避依存症の原因は幼少期の親子関係にあるとされています。
過干渉・過保護・無関心・精神的/肉体的暴力など様々な安心の出来ない環境で育った方はアダルトチルドレンと呼ばれ、大人になってから様々な課題を抱えやすいことが知られています。
回避依存症もそのうちの1つです。
回避依存症の原因としては、特に過保護・過干渉が挙げられます。
幼少期の親子関係は、その後の人間関係における基本的なモデルとなります。
そこで過保護・過干渉なモデルを学んでしまうと、相手の気持ちや考えを自分の正しさで束縛することに対して問題ないという意識になりやすくなってしまいます。
さらに、自分はその結果しんどい思いをしてきているため、自分は束縛されないように回避し、相手にそれを求めてしまうのです。
どこに行くにも、何をするにも親が干渉してくる。心配してくれているのは分かっているけれど、いい加減子離れしてほしい。そんな気持ちがあるときは、親から離れてあなたが自分の人生を生きていくチャンスかもしれません。
周りと深い関係・対等な関係を築けない回避依存症
ここでは、回避依存症の傾向について、4つのタイプからおおまかに説明しました。
それぞれのタイプ別のよりくわしい傾向については、各記事をご参照ください。
回避依存症の傾向は、周囲の人とより良い関係を持っていく上では大きな壁となってしまいます。
なんとなく自分はそうかもしれないと思う方、周りに似たようなタイプの方がいるという方は、是非一度カウンセリングもご検討ください。