子どもが不登校になると
再び学校に行けるようになるためにはどうしたらいいのか、という視点になりがちです。

子どもが学校に行きたい、戻りたいのであればそれでも問題はないのですが
もし、そうでないのならば不登校のゴールは登校ではないのかもしれません。

学校に登校することだけが不登校の目標ではない

不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。

文部科学省:不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)

このような指針が文部科学省から2019年の10月に発表されました。

2016年に成立した、教育機会確保法という法律をもとにした通知であり
この法律は、不登校児童生徒の意思を尊重し
個々の事情に配慮した支援を行うことが求められています。
また、「学校に行けるようになることが目標」ということに
こだわらない支援が受けられるよう出された通知となっています。

つまり、2018年の時点で国の政策の方向として
「学校に戻ることをゴールとしない不登校支援」が打ち出されているのです。
ただし、この法律は学校現場自体にすぐに浸透せず
このように何度か通知が出されることとなりました。

その甲斐もあり、少しずつこの考え方は広がってきているものの
未だ「登校できることを目標にする」という不登校支援が多くあるのが現状です。

学校に戻ることをゴールとしない不登校支援って?

これまでの不登校支援で問題になっていたのは
「学校に行きたくない」という子どもに対して
周囲からの「学校に戻りなさい」という圧力の大きさでした。

これは、学校の先生が従っていた国の指針が”学校復帰を前提にしていた”ことや
学校への出席日数が受験に大きく影響を与えているにも関わらず
不登校児への支援において
学校復帰を前提にした教育支援センターのみが出席扱いとされていたことが要因となります。

子どもの気持ちを無視するような形での登校支援はストレスとなり
さらに登校への拒否感にもつながることとなっていました。
これらの問題について教育関係者などから指摘があり
国の指針は2016年に登校前提から180度大きく変わることになります。

これによって”登校を前提としているかどうかにかかわらず”
フリースクールや教育支援センターに通っている子どもが「出席」と扱われることになりました。
また、一律的な”学校に登校しよう”という働きかけから
本人の意思と個々の事情にも配慮して、子ども自身が社会の中で自立していけるような
支援を考えていこう、という働きかけへと方針が変わっています。

2018年の通知では
不登校の時期が、子どもにとって休養や自分を見つめなおす積極的な機会となる一方で
学業の遅れにつながること、進路選択のうえで不利益となりうることなどのリスクも
考えなければならないということが示されており
かなり実情に沿った通知であるように感じます。

学校に戻ることをゴールとしない不登校支援とは
選択肢を学校のみに絞るのではなく
フリースクールや教育支援センター、オンライン学習、不登校特例校、夜間中学なども含めた
様々な選択肢の中から、子どもの気持ちと状況、今後へのリスクを踏まえてどうしていきたいのかを
選択していけるように学校も含めた周囲の大人が支援していけるようにしておく
ということなのではないかと思います。

子ども自身にとってよりよい選択を

不登校の子どもの中には
「学校に戻りたい」という意思がある子もいれば
「もう二度と学校には行きたくない」という子もいます。

それが、それぞれはっきり伝えられると良いのですが
どちらの場合もうまく大人に伝えられない場合も多いです。

学校に戻るにしろ、戻らないにしろ
子どもの人生はそこで終わりではありません。

学校に戻ったからもう大丈夫、というわけでもないですし
学校には戻れないからもうだめだ、というわけでもないのです。

保護者としてはやっぱり学校に行ってほしい、という気持ちがあるかもしれません。
未だ学歴が重視されやすい日本の中では
学校に行っていないことで不利になってしまうことも無いとは言えないでしょう。

しかし今、目のまえにいる子どもが何を必要としているのか
どんなことを感じているのか、なにを考えているのか
それをゆっくりと聞きながら、本人の意思も踏まえてどうしていくのか相談する。
その相談の選択肢の中に”学校には戻らない”が出来たことは
私としては、とても大切なことだと感じています。

もし、家族だけでは相談しきれない
学校以外にどんな選択肢があるのか一緒に考えたい、ということがありましたら
お気軽にご予約頂ければと思います。

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