学校に行きたくないだけ?

不登校は<甘え>や<怠け>なのではないか。
という意見はいまだによく聞きます。
これに対して「その通りだ」と思う人も「違うでしょ」と思う人も
いらっしゃるかと思います。

不登校が<甘え>だとされる意見には
学校に行けないような病気を持っているわけでもない
身体的に何も問題がないにも関わらず学校に行かないのは
本人の気力の問題であり、頑張りが足りないだけである
という考え方が背景にあります。

本人の気持ちの問題である、というのは確かにそうかもしれません。
同じ状況でも行っている子たちもいる、やる気が足りないのだ、という意見もあるでしょう。

しかし、その”気持ち”の部分は私たちの目には見えません。
そこがダメージを受け、そのまま手当がされていない状態であれば
やる気や頑張る気持ちが出ないのは当然ではないでしょうか?

それを<甘え>や<怠け>であると言ってしまうのは
いささか乱暴ではありませんか?

さて、不登校が甘えなのか?
冒頭の問いに対して私は
ある意味では<甘え>であるが、一般的な意味での<甘え>ではない
と思っています。

どういうことなのか
続いて説明していきますね。

不登校の背景にある<甘え>

子どもが不登校になったとき
たいていは多くの時間を家の中で過ごすのではないかと思います。
それは少なくとも
学校よりも家のほうが安全だ、と感じているからです。

自分にとって負担の大きい学校から逃げる場所として
無意識的に家を選択しているわけですね。

もし家も安全でないと感じているのであれば
家出をしてしまったり、遅くまで帰ってこない、という
行動につながっていくと考えられます。

また、不登校の子どもは意識無意識にかかわらず
気持ちを聞いてもらえる場を求めていたり
無条件に受け入れてくれる相手を探していたり
する場合も多くあります。

そしてそれは家で過ごしていると
親に対して向けられることが多いです。

これらの意味においては
不登校は子から親への<甘え>であるといえます。

甘えられる、ということは親を信頼している、ということに
つながっていると考えられるため
あながち悪いことではないですよね。

<甘えさせ>と<甘やかし>

さて、では子どもの<甘え>に対して
親はどのように対応するのがよいのでしょうか。

子どもが不登校になったとき
<甘えさせ>るのはよいですが、<甘やかす>のはよくありません。
この2つは似ているようで全く違うものなのです。

子どもから「~~してほしい」と要求があった場合

「抱っこして」「話を聞いて」「一緒に過ごして」などの
情緒的な要求には応えてあげてください。

子どもの話を聞くときに大事なことは
子どもが話したいときに、そのタイミングで聞く”ことです。
特に思春期の子どもの場合は、話しかけてきたその時に聞くことが大切です。
「今忙しいから」「あとで聞くね」とタイミングを逃してしまうと
ほぼ確実にあとで聞いても答えてくれませんし、言ってもきません。
出来る限りその場で話を聞いてあげてください。
そしてそれが大人にとってはどんなに些細なことであっても
否定せず、受け止めてあげてください。

「おもちゃ買って」「お菓子ちょうだい」「お金ちょうだい」などの
物質的な要求に対しては制限することが必要です。
言われるがままに買い与えるのではなく
不登校でないときと同じように対応することが重要です。

子どもが何か困っている様子がみられる場合

子どもがどうしても自分ではできないことに対して
大人に助けを求めること、大人に助けてもらうことは大切です。
この経験を積むことによって
自分が助けを求めたら、周りの人が助けてくれるという信頼感が生まれます。

ただし、子どもが自分でできる部分まで大人が手を出すのは「過保護」です。
子どもの自分の力でできた、という経験を奪ってしまうことになります。
それが続くと、自分では何もできず、どうしたらいいか分からないまま大人になってしまいますよね。

子ども自身で出来ることはどんどん本人にさせていく。
やりたいと意欲を持っていることもさせてあげるといいかもしれません。
しかし、あくまでも本人の意志を尊重してください。
助けを求められていない、まだ本人が自力で頑張っている状態で
大人が手を出してしまうことは厳禁です。

最後に

不登校の子どもは
大人に見えないところで
実はいろいろ考えて、悩んでいます。

「学校に行かなきゃいけない」なんてこと
言われなくても分かっている子も多いのです。

再登校においては
本人の意志も重要ですが
周りのサポートも大きな意味を持ちます。

子どもが<甘え>てきたときに
適切に<甘えさせ>ることが出来るように
こころの準備をしておくことは大切かもしれません。

どうしたらいいのか困ってしまっていたり
おひとりで抱え込んでしまっている時は
是非一度相談におこしください。

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