家での過ごし方を見てイライラ

子どもが不登校になると、家でずっと過ごしている状態になり、親御さんとしてもいろいろな思いを抱えることになるかと思います。
最初は「いったん休んでもいいんじゃない」「頑張れないときもあるよね」と思えていたかもしれません。
しかし、家の中でずっとゴロゴロ寝てばかりいたり、ゲームやスマホ・ネットに夢中になっていたり、テレビばかりみていたりと<学校に行けないくらいしんどい>という様子が見えないと
「本当に学校に行けないの?サボってるだけじゃないの?」
「そんな余裕があるなら学校に行ったらいいのに……」
「少しは勉強もしないと学校に戻れなくなってしまう」
「ずっとこのままではいられない」
など不安や焦り、時には怒りを感じることも当然かと思います。
そんなときは、親御さんにも休息や距離をとることが必要かもしれませんね。
とはいえ、「ゲームばかりしてないで勉強しなさい!」と正論をぶつけても
子どもから親が求めるような反応は返ってこないことが多いです。
それどころか、<親は何もわかってくれない>と関係が悪化してしまうかもしれません。
子どもは子どもなりに、どうしたらいいか分からず困ってしまっている可能性もあります。
それでは不登校中はどんな風に過ごすのが良いのでしょうか。

どんな過ごし方がいいか

自分の好きなこと、得意なことを見つける

不登校の子どもたちは<自己効力感>が低い傾向にあります。

自己効力感
カナダ人心理学者、アルバート・バンデューラが提唱した概念。
自分がとある状況において必要な行動をうまく遂行できると、自分の可能性を認知していること

「どうせ失敗する」「うまくできない」と感じ、行動をとることをやめてしまっています。
そのため、「自分はこれなら出来る!」ということを見つけていくことが大切です。

「これならできる」という得意なこと・好きなことはなんでもいいのですが、それを見つけるためには、いろいろなことに挑戦してみる必要があります。
親御さんはその機会を可能な限り作ってあげると良いのかなと思います。
学校ではどうしても”学力”や”体力”など目に見えやすい力が重視されがちです。思い返すと小学校のころ、足の速い子やドッチボールの強い子・いつも100点を取る子などがもてはやされていました。
しかし、世の中は分かりやすい”力”だけではありません。例えば、モノの構造を理解する力、絵を描く力、身体をうまく使える力などたくさんの個性であふれています。

不登校でできた時間を、子どもがどんなことが好きなのか、どんなことを楽しいと感じるのか、どんなことが得意なのか、それを探す時間に使うのもいいかもしれません。

コミュニケーションを学ぶ

人とどうコミュニケーションをとっていくのか、ということは、人の中に入って成功と失敗を繰り返しながら学んでいきます。しかし、元々人とコミュニケーションをとるのが苦手、得意という差は存在しています。
学校はコミュニケーションが必要になる場面であふれています。自分の意見が伝えられなかったり、相手の話が正しく理解できなかったりと、うまくコミュニケーションが取れない経験を積み重ねると、学校に行くことが嫌になってしまうかもしれません。また、コミュニケーションの力がついていない状態で学校に戻っても、同じことの繰り返しになってしまうかもしれません。

そのために、コミュニケーションの方法を学ぶこと、は重要です。

では、どうやってコミュニケーションの方法を学ぶのか。
親御さんや周囲の人が、良いコミュニケーションの取り方のお手本となってあげる、ことが大切です。

より良いコミュニケーションの取り方のポイントには専門的なスキルも必要にはなりますが
まず意識しなければいけないことは

・話を<聴く>という姿勢を持つこと
ただ耳に音として入ってくるのではなく、話を<聴いてもらった>という経験が
子どもにとっては重要になります。
・あなたに関心がある、ということを態度で表すこと
あなたがどう思っているのかを知りたい・聴きたいということを言葉だけではなく
態度で表すことによって、子どもが安心して話せる場を作ることになります。

このようなコミュニケーションの取り方のモデルを見て、経験して学ぶことによって
子どもたちもより良いコミュニケーションの力をつけることが出来ていきます。

家の中で役割を担う

家の中で子どもになにか役割を与えるということも大切です。
学校から離れると、社会の中で何か「役割を担う」という機会が減少してしまうためです。

例えば以下のような役割があるかと思います。
・食べた後の食器洗いをしてもらう
・洗濯物をとりこんでたたんでもらう
・掃除機をかけてもらう

親から見ると、「もっとこうしたらいいのに」「あそこが出来てないな」と思うこともあるかもしれません。
しかし、とりあえずそれは置いておいて「やってくれてありがとう」という気持ちを伝えてあげてください。
周りから見たらどんなに簡単なことであっても、役割を担って、それが出来たという経験は
子どもの中で自信へとつながっていきます。

最後に

不登校の子どもの多くは、意識的にしろ無意識的にしろ、今の状況を「何とかしなくては」と感じているはずです。
まずは、子どものエネルギーの回復を優先し、生活リズムをしっかりと整えることが重要です。
エネルギーが回復してきているようであれば、新しいことに挑戦してみるのもいいかもしれません。

お困りのことや相談したいことがありましたら、是非1度カウンセリングも検討してみてくださいね。

不登校のこどもの保護者へのカウンセリング|公認心理師 中田千晶(大阪)

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