周りに褒められると不安になってしまう
誉め言葉を素直に受け取ることができない
自分には不相応な評価であると感じてしまう
自分が過大評価されており、周りを騙しているような気持ちになる

これらのような状態に当てはまる方は、インポスター症候群の傾向があるかもしれません。

インポスター症候群とは、どんな概念で、どう対処したらいいのでしょうか。

インポスター症候群

インポスター症候群に明確な定義があるわけではありませんが、
自分が得た評価や名声といった成功体験が自分の能力に対して過大評価であると感じ、周りを騙しているような気持ちになってしまう心理状態のことを指して使われる言葉です。

私としては症候群というよりも、心理傾向といった方がしっくりくる概念だと思います。

インポスター(Imposter)とは「詐欺師」「偽物」といった意味を持つ単語であり、本人が自分にそぐわない評価で周りを騙しているように感じることからインポスター症候群、と言われているようです。

インポスター症候群の特徴

インポスター症候群の特徴として以下のようなものが挙げられます。

・出来ない自分を隠していたい
・物事に取り組む前から、失敗するイメージが浮かぶ
・完璧でないと許されないと感じる
・周りの空気を察知することが得意である
・周りからどう見られているのかが気になる
・1度成功しても、次は失敗するのではないかと思い挑戦できない
・自分が成功したのは実力ではなく、運が良かったからだと思う
・任せられた仕事に対して、〇〇さんの方がうまく出来るのに、と思う

身に覚えのある方は、インポスター症候群の傾向を持っているかもしれません。

周りからどう見られているのかが気になったり、出来ない自分を隠したかったりという気持ちは誰もが多少は持っているものですが、その程度によってこころの健康が損なわれてしまうことが多い場合は問題となります。

この傾向を持っていること自体が問題ということではなく、このような状態に置かれていることで自分の能力への不安や、周りからのプレッシャーを強く感じ、しんどさに繋がってしまうることが課題です。

インポスター症候群から抜け出すために

それでは、インポスター症候群から抜け出すためにはどうしたらいいのでしょうか。

事実に焦点を当てて考える

インポスター症候群の状態が続いていると、自分は今の仕事に向いていないと感じるようになります。
しかし、この「向いていない」という評価が自分の気持ちなのか、客観的な事実なのかが大切です。

何が実際に起こっていることで、何がそれに対する自分の考えや解釈なのか。
物事に対して自分なりの解釈があることは悪いことではありませんが、それらは自分の中でしっかりと分けて認識できている必要があります。

例えば、ミーティングで自分の意見を発表した際、一瞬場が静まったとします。
その後、上司から自分の意見が評価され、それについて活発に議論が交わされたとしましょう。

この時あなたは
<自分の意見で場が静まってしまって申し訳ない>
<上司は気を遣って評価のフォローを入れてくれたのだ>
<自分の意見は議論が交わされるほどのものではない>
と感じるかもしれません。

しかし、ここで起こっている事実は
・意見を発表したら場が静まった
・上司から自分の意見が評価された
・それについて活発な議論が交わされた
という部分だけです。

客観的にこれらの状況だけを見ると、先ほどとは違う可能性が見えてくるかもしれません。

事実と気持ちを分けて考えるのが難しい場合は<全く同じことを自分ではなく、周りの人が言っていたらどう思うか>を考えてみるのが取り組みやすいと思います。

自分がインポスター症候群になっている時を記録する

自分がどんな時にインポスター症候群の傾向になりやすいのかを記録することも、上記の事実を見ていくことにつながります。

何が起こったときに、どういう状態で、自分がどう感じるのか。

それを文字にして記録することによって、自分の傾向を整理できます。

あなたの中の考えや解釈は決して価値のない、悪いものではありません。
自分の感情を無視することは、別の問題を生み出してしまう恐れがあります。

自分の気持ちを認識して、それが事実に基づいているのかを自分の中で整理し、必要な場合は正しく手放していくことが重要です。

未来を心配しすぎないようにする

インポスター症候群の傾向がある人は、ネガティブに考えやすいところがあります。
将来起こる可能性のあることや、実行した後の周りからの評価などを先回りして不安に感じ、心身ともに疲れて今に目を向けられなくなってしまっています。

まずは今、目の前にある仕事や課題を着実に達成していくことが重要です。

確かにこれから先何が起こるのか、不安や恐怖はあるかもしれません。しかし、未来は今の積み重ねの先にあるものです。
今の自分には、未来のために着実に今を積み重ねることしかできません。

未来を心配している自分に気付いたときは「まず今出来ることをしっかりとやる」と自分に言い聞かせることも大切です。

自分のうまくいった時をメモに残しておく

成功体験をメモなどに記録しておくこともよい方法です。

人は失敗したことの方が、成功したことよりも記憶に残りやすくなっています。
メモに残しておくことによってインポスター症候群の傾向がみられた時にそれを見返すことができ、自分が常に失敗しているわけではないこと、自分の評価が不当なものではないことを改めて認識することができます。

おわりに

インポスター症候群の原因には、自己肯定感の低さや変化することへの抵抗感、成功を否定されるなどの過去の経験、幼少期の教育方針など様々な可能性があげられています。

まさにこれまでの積み重ねの上に、今の心理傾向がある形ですね。
そのため、すぐに改善するのは難しいかもしれません。

しかし、今の「評価を認められない自分」を認め「周りからの評価を受け止められる自分」に変えていくためには、日常の中で少しずつ考え方を捉えなおしてみることが大切です。

考え方の捉えなおしに少しでも興味を持たれた方は、1度お気軽にご予約いただければと思います。

参照:Sakulku・Alexander(2011)の研究

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