知能検査を受けると、IQという数値が結果として出てきます。
この数値を、高ければ良くて低ければ悪いと考える人も多いのですが、決してそうではありません。
このIQという数値について、少し触れてみたいと思います。
IQってどんな数値?
IQ(Intelligence Quotient)とは、日本語に直すと知能指数と呼ばれるものです。
日本で取っている検査においては、日本人の平均を100として数値を算出しています。
現在知能指数を算出するために多く使われているWAISという検査においては、16歳~90歳11か月までの幅のある年齢を対象としているため数値を算出する際には日本人の同年齢帯の平均を100とする形を取っています。
この際日本人全員の知能の分布が正規分布という分布に従うように、標準偏差を15として計算しているのがWAISのようなウェクスラー式の特徴です。
その結果90~110という数値の間に50%の人が該当するように計算されています。
テレビ等で紹介される時に使われるIQは数値を高く見せるためにキャッテル式と呼ばれる標準偏差24のものを使うことも多いようです。
単純に変換すると、例えばウェクスラー式でIQ110と示される人がキャッテル式ではIQ124になるということですね。
”知能”というものは、未だ厳密な定義のなされていない概念になります。
そのため、ウェクスラーが知能であると定義したものを測るための検査がウェクスラー式の知能検査となっています。
結果、知能検査と呼ばれるものは複数あり、それぞれがそれぞれの”知能”と定義したものを測る形が現状です。
日本においての知能検査はウェクスラー式が使われることが多いかと思います。
余談とはなりますが、高IQの方々が所属できるMENSAという組織においても入会のためにこのウェクスラー式の検査の結果が用いられています。
知能指数が高い、低いということ
前段でお話ししたように、日本人の50%がIQ90~110の間に入るようにWAISという検査は作られています。
さらに約82%はIQ80~120の間に入り、約95%はIQ70~130の間に入るようになっています。
つまり、高すぎても低すぎても社会の中では少数派となってしまうわけですね。
現代社会は多数派の人間が生きやすいような形になっていることが多いです。
例えば改札は右利きの人の方が使いやすいですよね。
学校ではクラス全員が同じレベルの授業を受けることもまだまだあります。
そのため、知能が高すぎても低すぎても「生きづらさ」に繋がってしまう恐れがあるのです。
それでも、知能が低すぎるよりは高すぎる方がいい、という考えもあるかもしれませんが単純に「高ければ良い」というものではないことはお分かりいただけるかなと思います。
また、一言で”IQが高い”と言っても全般的に高い力を持っている人もいれば、得意不得意に大きな差がある人もいます。
これらのバランスによっても社会の中で生きていくうえでのしんどさは大きく異なります。
IQが高いからこそ起こり得る困りごと
例えば、記憶力がとてもいい場合。
本当は忘れた方がいいことや、ちょっとした話であっても全て記憶に残ってしまい忘れたくても忘れられない。ずっとそれが気になってしまうということがあり得ます。
例えば、言葉の力がとても高い場合。
自分の伝えたいことは頭の中でまとまっていて言葉にも出来るのに、周りに伝えるためにはもっと伝わりやすい表現にする必要があって思っていることの半分も伝えられないということがあり得ます。
例えば、細かい部分に気づく力が高い場合。
周りの人の表情や雰囲気、言葉のニュアンスなどの細かい部分に気づきたくなくても気づいてしまって、気にしてしまい落ち着かないということがあり得ます。
持っている力が高いことは状況によってメリットにもデメリットにもなり得るものです。
単純にIQが高い=頑張らなくてもなんでも出来てしまう、ということではないんですね。
このように数値を見ることも大切ではありますが、検査を受けて頂いて結果をみていくうえでもっと大切なポイントは、どんなことが得意でどんなことが苦手なのかを理解することです。
自分の能力を理解することによって、今困っていることが自分の能力とどんな風に関連しているのかを考えて対処していくことが出来ます。
検査を受けて結果が手元にある方は、そういったバランスや今の困りごとへの対処といった視点でも見てみて頂けると、数値を見るだけとは違った印象があるのではないかと思います。
これから検査を受けてみたいという方は、当カウンセリングルームでも実施しておりますのでよろしければご検討くださいね。
WAIS-Ⅳについての概要の説明はこちら👇
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