空気が読めない、気持ちが表に出ないと言われる人
・どんな気持ちなのか尋ねられてもいまいち分からない
・何か感じてはいるが、これをどう表現したらいいのか分からない
・無表情、淡々としている、何を考えてるかよくわからない等言われることが多い
これらに当てはまる方は、もしかしたらアレキシサイミアという性格特性を持っているかもしれません。
アレキシサイミアとは、日本語では失感情症と訳されています。
字面を見ると、”感情がない”と勘違いされがちなのですがそうではなく、自分の感情に気づくこと、自分の感情について考えること、気持ちを言葉にすることが苦手という特徴を指します。
この概念は元々、心身症という主にストレスからくる身体疾患の治療の中で取り上げられるようになりました。
心身症とアレキシサイミア
ではなぜ心身症というからだの病気が、感情を言葉にすることが難しいということと関係があるのでしょうか?
アレキシサイミアの方は<気持ちを表現すること><気持ちに気づくこと>が難しいだけで、気持ちを感じていないわけではありません。
つまり、しんどさや辛さなどのネガティブな感情を気づかないうちにため込んでしまうこととなります。
そのため、日常生活の中でささいなストレスが積み重なり、身体の症状として表れてきます。
しかし、自身では何がしんどかったのか、何が辛かったのか分からないため病院でストレスについて尋ねられてもきょとんとしてしまうのです。
また、仮に感情を捉えられたとしてもそれを客観的に見つめることも苦手です。
つまり「しんどい・悲しい」けれど、自分が何からそう感じていて、それに対してどうしたらいいのかが分からず、対処できないまま放置してしまうパターンもあります。
さらに自分自身の感情を理解し、それと付き合うことが苦手な方は他者の感情を想像することも苦手であるため、適切なコミュニケーションを取ることが難しくなります。
そうすると「人の気持ちが分からない」「空気が読めない」と思われてしまうことに繋がり、人間関係を円滑に進めることが出来ず、それもストレスになってしまいます。
アレキシサイミアの原因と対処
アレキシサイミアの性格特性は
・生まれ持った遺伝的な要因
発達障害に伴う自閉傾向や、HSPなどの過敏さ、身体感覚への鈍感さ等
・家庭環境や特定の出来事に起因する後天的な要因
感情を否定され続けてきた、周囲と情緒的な交流が無かった等
双方が関連しているとされています。
身体症状が出ている場合はまず、その症状を改善することが目標となります。
そもそも感情に焦点を当てることが難しいため、実際の行動としておこすことができる呼吸法でのリラックスや、自律訓練法での緊張緩和などが効果的であるとされています。
そうして身体症状が多少落ち着いたうえで、自分の特性を理解し、少しずつ感情に目を向けることが大切です。
自分の気持ちを完全に理解することは誰にとっても難しいものかと思います。
そのため、完璧に言い表す言葉を見つけるということではなく、大体このあたりというグループ分けが出来るようになると良いかもしれません。
自分の言動をメモして見返す、日記をつけるといったことは自分の状態を客観的に見ることの練習となります。
また、物語を読むことによって感情表現の方法を勉強するのも1つです。
アレキシサイミアはあくまでも精神的な疾患ではなく、性格特性の1つとされています。
自分がどんな感情を持っているのか意識を向け続けるということは、1人で取り組み続けることが難しければ、カウンセリングの中で一緒に考えていくことも選択肢にいれてみてくださいね。