みんなが使う言葉、ストレス
近年ではストレスという言葉が日常生活の中でよく使われ、当たり前のように話されています。
「昨日の仕事めっちゃストレス強かったわー」
「ストレスがかかるとイライラする」
何気なく使っているこの<ストレス>という言葉ですが、どういう意味か説明できますか?
実はこの言葉は、もともと物理学の分野で使われていた言葉なんです。
物体の外側からかけられた圧力によって歪みが生じた状態のことを<ストレス>といいます。
この言葉が転じて心理学や医学の分野でも使われるようになったのですが、日常生活の中での使われ方とは少し違っているんです。
心理学ではストレスを
こころや体にかかる外部からの刺激を<ストレッサー>
ストレッサーに適応しようとして、こころや体に生じたさまざまな反応を<ストレス反応>
と分けて考えています。
例えば、ボールを指でぐっと押している状態をイメージしてみてください。
押されたボールは凹みますよね。
指で押す=ストレッサー、ボールが凹む=ストレス反応、です。
同じ強さで押されても、ボールの種類によって凹み方は変わります。
つまり、同じストレッサーから刺激を受けても、ストレス反応は人によって異なるわけです。
ストレッサーとストレス反応
それでは、ストレッサーとストレス反応について、それぞれ見ていきましょう。
ストレッサー
私たちのこころや身体に影響を及ぼすストレッサーは3種類あります。
物理的ストレッサー:暑さ、寒さ、騒音、混雑など周囲の物理的な環境
化学的ストレッサー:公害物質、薬物、酸素欠乏(過剰)、一酸化炭素など化学的要因
心理・社会的ストレッサー:人間関係、仕事上の問題、家庭の問題など社会の中で起こる心理的な問題
日常生活でよく使われる<ストレス>は、このうちの心理・社会的ストレッサーを指していることが多いように思われます。
ストレス反応
ストレッサーによって引き起こされるストレス反応も3種類に分けられます。
・心理面:活気の低下、イライラ、不安、抑うつ症状(気分のおちこみ等)など
・身体面:身体の節々の痛み、頭痛、肩こり、目の疲れ、動悸や息切れ、胃痛、食欲低下、不眠など
・行動面:飲酒量や喫煙量の増加、仕事でのミスや事故の増加など
これらのストレス反応がすぐに無くなってしまえばよいのですが、長く続く場合は要注意です。
過剰なストレス状態になっているサインかもしれません。
これらの症状に気づいたら普段の生活を振り返り、ストレスと上手く付き合う方法を工夫してみることが大切です。
みんなが感じているストレスだけれど
厚生労働省の行っている「労働者健康状況調査」では、働く人のうち60%がストレスを感じていることが示されています(2012年)。
私たちの身近にあるストレスですが、自分で対処できる範囲を超えてしまったり、ちょっとずつのストレスをためこみすぎてしまったりすると病気につながってしまう恐れもあります。
どんな病気につながってしまうのかは、次の【ストレスコーピング②】で説明しますね。
周りのストレスについて相談のある方はぜひお気軽に予約していただけたらと思います。