いつも親を中心に考えて生きていた気がする人、それっておかしいかもしれません

「お母さん(お父さん)はこうしたほうがいいと思う」
「あなたはそうかもしれないけど、お母さん(お父さん)は違うから~~しなさい」
「あなたがそんなだから、お母さん(お父さん)がいつも困る」
「〇〇しないなんてあなたはおかしい」

こんな言葉に聞き覚えのある方は要注意です。
あなたの人生は、ちゃんとあなたのものになっていますか?

一般的に子育てをする際、親は「この子のためにはどうしたらいいんだろう」ということを一番に考えて行動します。

しかし、社会の中には「私がこうしたいからこうさせる」という親も確かに居ます。
それらの親をトキシックペアレント(毒になる親)といいます。
いわゆる毒親、と呼ばれているものと同じような概念ですね。
毒親とイコールで表す場合も多いのですが、今日本で使われている”毒親”という言葉はヘリコプターペアレントやモンスターペアレントも含んだ概念であることが多いため、ここでは敢えてトキシックペアレントという言葉を使って説明していきます。

トキシックペアレントは自分への愛を最優先し、自分の欲求を満たすことを一番に考えます。
そのため、子どものためにならないことでも求め、行動させることがあります。

トキシックペアレントのように自分を満たすことが目的ではないものの、「あなたのため」と子どものためを思っての行動が同じようなコントロールへとつながってしまっている場合もあります。

トキシックペアレントの具体例

トキシックペアレントの他の親と大きく違う特徴は、その行動や考えが、子どもへの愛情ではなく、自己愛からきているということです。

「子どものため」と言っている行動も、全ては「自分のため」にすぎません。
とにかく自分が一番であり、自分が周りからどう見られるかがとても大切。
そのためには子どもの気持ちなんて気にしない。子どもは「自分のもの」である。
自分と子どもを別の人間と捉えず自分の延長線上で考えるため、自分と同じように考えて行動しない、自分の思い通りにならない子どもは必要ない。

それがトキシックペアレントです。

では具体的にはどんな行動がみられるのでしょうか。

・子どもの気持ちは否定し、自分の思い通りでないと気が済まない
例:どうして~~したいのか分からない、私なら……するからそうしなさい
・子どもの人生を自分のものにしてしまう
例:私は大学に行けなかったからあなたはいい大学にいって勉強しなさい
・気分の波が大きく、子どもを巻き込む
例:今イライラしてるのにどうしてそんなことするの、親のことをバカにしてるのか
・子どもの選択をコントロールしようとする
例:私ならこっちを選ぶけど、それを選ぶなんてセンスない
・条件つきの愛情をしめす
例:いい点が取れたら褒めてあげる、自分の期待に添わない子どもは必要ない(勝手に生きていけ)
・こうあるべき、という親の価値観を押し付ける
例:お前は間違ってる、何も分かっていない、いう通りにしていればいい

他にもあるかとは思いますが、これらの要素が見られる場合は子どもへの愛情ではなく、親の自己愛であるかと思われます。

トキシックペアレントによる子どもへの影響

自己愛の強い親に育てられ、無条件の愛情を得る機会がなかったことで、子どもには様々な影響が表れます。

①周りの顔色や機嫌を常に気にしてしまう
トキシックペアレントを持つ子供は、常に親の求める正解を探っています。
それは決まっているわけではなく、その時の親の気分や状況によっても異なります。
親に見捨てられないよう、親の気分を損ねないよう、小さいころから常に気をつけていた結果
周囲の顔色を必要以上に気にするようになり、それがしんどさに繋がってしまいます。

②努力しても無駄だ、自分には愛される価値がないと感じる
どれだけ努力しても、親の望む結果でなければ認めてもらえないことから
努力しても無駄だ、意味がないと努力することをあきらめてしまいます。
また、どれだけ親と気持ちを交わそうとしてもかなわない状態が続くと
自分が親を喜ばせられないのが悪い、自分は価値のない人間なのだと感じることになってしまいます。

③自主性がなく、自信が持てない
何を選択するにも親の希望に沿い、自分で決めたことは否定されてきた経験から
自分で考えたことに自信が持てず、1人では何も決められなくなってしまいます。
何をしたいか・どう感じるか、ではなく、何が正解かを常に求めてしまいます。

常に満たされないのにどうしたらいいのか分からず、安心感や認められる経験を持たないまま大人になってしまう。
そうして育った子供も、愛された経験がないために自己愛が強くなってしまう。
そんな悪循環が起こってしまう可能性も十分にあります。

トキシックペアレントの呪縛から離れる方法

自己愛の強い親の元で育った子どもは、親が正しいと思い込んでいることも多く「子どもを愛さない親なんていない」と考えることで自分を守っています。
「自分は親に愛されていない」という現実から目を背けているのです。

「親にネガティブな感情を持つことはいけないことだ」と教えられ、それを忠実に信じています。
自分の親が、不誠実で冷淡で自己中心的な人間であるなんて、思いたくはないのです。

しかし、まずはその事実を認めなけばいけません。
それはとてもつらく、悲しいことだと思います。
けれども、「自己愛の強い母親が存在し、自分は共感や愛情を得られなかった」という現実と向き合うことが、その呪縛から逃れる大きな一歩となります。
子どもの自分のつらさ、悲しさ、怒り、それを受け止めることから始まります。

そして、ありのままの自分について捉えなおしていきましょう。

私はなにが好きで、なにが嫌いなのか
なにを感じて、どんなことに笑い、どんなことに怒るのか
どんな風に生きていきたいのか
自分自身について考える時間を作ってみましょう。

そして最後に、母親との間にしっかりと境界線を引きましょう。
これ以上は踏み込まれたくない、という線引きをはっきりし、大人同士の節度を持った付き合いをしていきましょう。

今まで考えてこなかった”自分”について捉えなおすのは1人では少し難しい部分もあるかもしれません。
そんな時は、カウンセリングなどの相談を利用してみるのも良いかと思います。お気軽にご相談ください。

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