過保護・過干渉な親から育てられた人たち【ヘリコプターペアレント】

親子関係は周りと比較しにくく、歪んでいても気づかないことが多い

「あなたが心配だから言ってるの」
「こうしたほうがあなたにとっていいに決まってる」
「何時に帰ってくるの?誰と遊ぶの?どこにいくの?全部連絡してね」

親からそんな風に言われたことはあるでしょうか。
多少であれば、また、小さいころなら誰しもあるかもしれません。
しかしこれがずっと続いているのであれば、その関係は少し特殊ではないでしょうか。

親子関係は周りと比較しにくいことから、自分の知っているものを「普通」と考えがちです。
「おかしいかも?」と思っても、「こんなもんか」と思い直してしまうことも多いでしょう。
親はそれが正しいと思って行っているために、自分のズレに気が付きにくいものです。
だからこそ、あなたが「なにかしんどいな」「他の家とちょっと違うかも」と感じたことがあるならば
もう一度立ち止まって、自分と親との関係を見直すことが大切です。

ヘリコプターペアレントの具体例

過保護かつ過干渉な親のことを”ヘリコプターペアレント”といいます。

これはアメリカで生まれた言葉で、子どものことを心配しすぎるあまり、空中でホバリングしているヘリコプターのように子どもの行動1つ1つに付きまとい、観察して手を出す親のことを指します。

元々は高校生や大学生の年代における親を指す言葉でしたが、現在では広い年代に対して使われることが多くなっています。

ヘリコプターペアレントの特徴として、子どもに深い愛情があり「傷ついてほしくない」と思うことから失敗や困難を取り除こうとしてしまうことが挙げられます。

以前は過保護であることは、愛情があれば問題ないとされていましたが、近年では愛情がない場合と比べると軽減はされるもののからの過保護や過干渉は子どもの自己否定感を強め、問題行動を引き起こすということが示されています。

例えば
独裁者タイプの回避依存症
アダルトチルドレン
などの原因となる可能性があるとされています。

どのくらいが過保護なの?と思われるかもしれませんが
具体的には
・子どもが下すべき決断を親が行っている
例:高校・大学・就職などの進路を親が決める/友人関係に口を出すなど
・子どもが自分で解決しなければいけない問題を親が解決している
例:子どもの喧嘩に口を出す/子どもの面接についていくなど
・子どもから助けを求められていないのに手助けしてしまう
例:宿題が終わっていないので代わりにやる/ことあるごとに学校に連絡を入れるなど
・子どもの行動を管理したがる
例:帰宅時間やどこに行くかを全て伝えさせる/デートについていくなど

これらの行動は過保護・過干渉として挙げられるかと思います。

ヘリコプターペアレントによる子どもへの影響

親が過干渉・過保護に子どもへ接することによって子どもには様々な影響が表れます。

①自分のことが嫌い
人は後悔や失敗から様々なことを学びます。
それを糧に再度挑戦し、成功することが自分に対する自信へとつながっていきます。
しかし、ヘリコプターペアレントは子どもが後悔や失敗をすることがないように先回りして口や手を出してしまいます。
その結果、子どもは自分の力での成功経験も失敗経験も積むことができないまま大人になり、自分ではなにも行っていないため自信を持てず、自己否定感を強めてしまいます。

②問題を自分で解決することができない・自主性がない
人が問題に直面した際、これまでの経験をもとに、対処方法を考えます。
しかし、ヘリコプターペアレントの元で育った子どもは先回りした親からの指示のもとで動いているため自分の力で問題を解決したことがなく、いざ問題と向き合ったときにどうしたらいいのか分からなくなってしまいます。
自分で決める・選ぶということをしてこなかったため、決断する力が育っておらず自主性がないと思われてしまいます。

③良い悪いの判断がつかない
小さいころから自分で物事の判断を行っていると、社会の中で何が良くて何が悪いのか、どうすると失敗してなにが成功につながるのかということを経験の中で理解していきます。
しかし、ヘリコプターペアレントの元で育った子どもは自分で判断した経験がないため、大人になっても判断がつかず、常識が身につかない恐れがあります。
その結果、人間関係での距離の取り方や正しい関わり方が分からず孤立してしまう可能性もあります。

子どもは何かおかしいと思っても言えない

親は愛情をもって接していると感じているため自分が正しいと決めていて、全て子どものために、と思っています。

小さなうちはそれでもよかったかもしれませんが、思春期になると親への反発も生まれてきます。
うっとうしい!と思うこともあるかもしれません。

しかし、親は自分こそが正しいと思っているため「あなたがおかしい!」「あなたのためを思って言ってる!」とさらにあなたの先回りをしようとします。

そのうちに「やっぱり自分が間違ってるのかも……」「親の言う通りにしたら失敗しないし……」「親が言っていることが正しいのかもしれない……」と自分に自信がなくなってきます。
これは、これまで親の言う通りにやってきて自分で判断を行うことが少なかったことも影響しています。

そして「どうせ許してもらえないんだからあきらめよう」「自分のことを思って言ってくれるんだし」「親の言う通りにしていたら困らないだろう」と我慢して自分の気持ちに蓋をしてしまうことになります。

その結果、大人になって社会に出た際に周りは誰もあなたを先回りしてはくれず、自分では何も決められず、初めての失敗に打ちのめされ、自己否定がさらに強まり……と気持ちが不安定になってしまいます。
もしくは、社会に出た後も親からの過保護・過干渉が続き、周りから一歩置かれ孤立してしまうことになってしまうかもしれません。

過干渉・過保護のループから抜け出すためにはまず「疑うこと」から始めましょう。

それは本当に私のためになっている?
私は本当にそうしたいと思っている?
私は今の距離感でしんどくない?

自分に問いかけてみてください

親から離れるかはあなた次第

やっぱりおかしい!もっと距離を取りたい!
でも、親が変わってくれないと離れられない。
そう思うかもしれません。

本当にそうですか?
親はあなたを物理的に拘束しているわけではありません。
あなた自身が傷つくことを恐れなければ離れることは可能なのです。

誰もあなたの行動を強制することは出来ません。
誰もあなたの気持ちを無理やり変えることは出来ません。

やりたいのか、やりたくないのか
好きなのか、嫌いなのか
離れたいのか、離れたくないのか

全部あなたの気持ち次第です。

離れたいと思ったときは
・物理的に距離を取る
・周りに相談して客観的な意見を聴いてみる
・行動は事後報告する、もしくはいちいち言わない
などから取り組んでみることができます。

1人では考えがまとまらない、どうしたらいいのか分からないという場合は1度お気軽にご相談に来ていただけたらと思います。
誰かと話しているうちに自分の気持ちが見えてくるかもしれません。


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