カウンセラーという職業と資格

どこのカウンセリングを受けよう?どんなカウンセラーに相談しよう?
カウンセリングを受けようと考えた際に、皆様悩まれるかと思います。
そんな時、カウンセラーの紹介文に【資格】という欄があるのを目にした方は多いかもしれません。

私の紹介ページにも、臨床心理士・公認心理師の2つの資格を掲示しています。
しかし、結局これらが何を意味していてどう違うのか、何ができるのか、資格名だけではよく分からないですよね。
病院で心理検査をしていた際も「臨床心理士の中田です」と名乗らせては頂くのですが、『よくわからないけれど検査を取る人』という認識が8割だったのではないかと思います。

なぜこんなにもカウンセラーの資格は知られていないのでしょう。

例えば、医師・看護師・弁護士・美容師・教師など一般的に知られている資格は、【資格の名前=職業の名前】となっていることが多いように思います(全部が全部そうではないかもしれませんが……)。
そしてこれらの資格に共通するのは、その資格を持っていないとその職業に就くことが出来ない、ということです。
ここで勘のいい方は気づかれたかもしれません。
そう……カウンセラーは資格を持っていなくてもなれます。カウンセラーと名乗るだけで、あなたも今日からカウンセラーです。
医師という職業には、医師という資格が必要。看護師という職業には看護師という資格が必要。
しかし、カウンセラーという仕事をしている人はそれぞれが違う資格を持って、同じ【カウンセラー】という職業に就いています
そのため、職業名は知られているが、資格名は知られていない、という状況が出来上がったのではないかと思っています。

たくさんあるカウンセラーの資格

数年前までカウンセラー資格は、基本的に全て民間資格でした。
しかし、平成29年に公認心理師が正式な国家資格として位置づけられ、平成30年中には最初の資格試験が実地され、現在まで4回の試験によって多くの公認心理師が誕生しています。

公認心理師

心理職の国家資格化は心理分野に携わる者の大きな願いであり、社会の中でカウンセリングの重要性が認識され始め、それがやっと適ったのが公認心理師資格です。
公認心理師は名称独占資格と呼ばれ、この資格を持っていない人が公認心理師を名乗ると法律違反になります。
国家試験を通過している人が登録できるという点では、一定の知識を有していて、制度に関する理解もあるのである程度の安全性はあると言えるのではないかと思われます。
まだできたばかりの資格であり、これからどのように活躍の場ができていくのかは動向がうかがわれている状態です。

臨床心理士

公認心理師が誕生するまでは、臨床心理士がカウンセラーという職業として働く上での一番権威のある資格とされてきました。理由としては、臨床心理士は大学院で専門の勉強をした後、資格試験を受けて合格した者のみが名乗れるという資格取得の難易度によるところが大きいかと思われます。また、5年ごとの資格の更新が必要であるため、臨床心理士資格保有者は常に研鑽を重ねることが求められています。
数ある資格の中で比較的知名度が高く、学校や病院などでカウンセラーとして勤務する際の条件に臨床心理士の資格の有無が問われるほど、他の資格に比べて価値のある資格と位置づけられていました。
しかしながらあくまでも民間資格であることから、公認心理師が誕生した現在はどのような位置づけになっていくのか定かではない状態です。

その他の民間資格

これらの資格に次いで産業カウンセラーという資格も認知度も高く、資格取得に至るまでのカリキュラムも充実していると言われていました。特に会社でのメンタル対策やキャリア形成の支援などを専門とする資格であり、企業に所属しているカウンセラーはこの資格を保有している方が多いかもしれません。
そのほかにも、学校心理学を中心に学んでいる学校心理士・発達心理学を中心に学んでいる臨床発達心理士などの資格も存在しています。

どの資格を持ったカウンセラーに相談すべきか

病院やクリニックでのカウンセリングは臨床心理士・公認心理師の資格を持ったカウンセラーが担当する可能性が高いと考えられます。スクールカウンセラーは以前は学校心理士の方もいらっしゃいましたが、現在は臨床心理士や公認心理師も多く在籍しています。

民間のカウンセリングルームの場合は、所属している心理士の持つ資格はまちまちです。資格がある場合は、紹介ページに記載があるかと思いますので、参考にされるとよいかと思います。
また、民間のカウンセリングルームでは心理士自身が情報発信を行っていたり、これまでの相談実績を開示していることもあります。
資格のあるなしのみに限らず、その心理士がどんな相談に対応できるのかということを確認しておくのも良いかもしれません。

カウンセリングは人と人との出会いであり、事前情報だけではわからない部分も多くあるかも思われます。「なにか違うな」と感じた場合でも、カウンセリングをやめてしまうのではなく、別のカウンセラーとの出会いを体験してみることも大切です。