
「うちの子、もしかして…」
そう思ったことがあるけれど、病院に行くほどではない気がする。
園や学校では「様子を見ましょう」と言われたけど、毎日困っているのは家の中。
誰にもはっきり言えないまま、親だけが不安を抱えていく。
発達の診断があるかないかに関係なく、「育てにくさ」を感じるとき、
親としてできることは確かにあります。
◆「診断名がつくかどうか」ではなく、「困りごと」があるかどうか
子どもの困りごとは、診断名よりも生活に支障が出ているかどうかが大事です。
たとえば、
- 朝の準備がいつまでも終わらない
- 急な予定変更でパニックになる
- 人の気持ちを汲みとるのが苦手
- 感覚が過敏で、着替えや音に強く反応する
こういった行動が頻繁に見られ、日常生活や親子関係に影響しているなら、
たとえ診断がついていなくても「この子に“合う接し方”が必要なんだ」と捉えることが大切です。
◆親の関わり方を「変える=我慢する」ではない
ここでひとつ大きな誤解があります。
“関わり方を変える”と言うと、「親が我慢する」「甘やかす」だと捉えられがち。
でも実際には、“この子の理解の仕方に合わせる”ということ。
親が折れるのではなく、一緒に歩ける道を探すということです。
たとえば:
- 要求は短く、具体的に
- タイマーで切り替えを視覚化
- 「早く」ではなく「あと何分でやめようね」と予告を入れる
- ごほうびではなく、“できた感”を味わえる工夫を
こうした声かけや環境調整で、子どもの落ち着きが全然違ってくることもあります。
◆「がんばってるのにうまくいかない」親の苦しさ
多くのお母さんが言います。
「ちゃんと教えてるのに、言うことを聞いてくれない」
「叱らない育児をしようと思っても、現実は無理」
「どれだけ努力しても、報われない感じがする」
…それは、がんばり方が間違っているんじゃなくて、合っていないだけかもしれません。
特性のある子には、「普通のやり方」が通じにくい。
でも、だからこそ、“この子に合ったやり方”を見つけていくと、少しずつ親も子も楽になっていきます。
◆周囲と温度差があるのは、あなただけじゃない
家では毎日大変なのに、学校では「落ち着いていますよ」と言われる。
夫は「そのうち慣れるから」と気にも留めない。
親に相談すれば「そんなの昔は当たり前」と返されて終わる。
この“誰も分かってくれない感じ”が、実はいちばんつらい。
でもこれは、あなただけが抱えているものではありません。
「違和感を感じているのは、自分だけじゃない」という視点が持てると、少し呼吸が楽になります。
◆カウンセリングは“答えをもらう場所”ではなく、“整理する場所”
よく「カウンセリングに行ったら何かアドバイスがもらえますか?」と聞かれます。
でも実は、多くの方が本当に求めているのは「アドバイス」ではなく、今の自分の状態を理解し、整理して、次の一歩を見つけることです。
- 子どもとの関係に行き詰まっている
- 他の誰にも言えない感情がある
- 今のままじゃいけない気がしている
そんなとき、自分の内側をじっくり見つめる時間はとても大きな価値があります。
◆「完璧な関わり方」なんて存在しない
最後にお伝えしたいのは、「正解を探し続けなくてもいい」ということです。
大切なのは、“今の自分と子どもにとって無理のないやり方”を探すこと。
今日できなかったことが、明日できるかもしれない。
親の関わり方だって、いつだって更新していい。
そしてその過程を、誰かと一緒に考えたっていいんです。
「発達の診断がないから」「まだ小さいから」とためらう必要はありません。
もし「今の関わり方に限界を感じている」と思うなら、
それは“変わるきっかけ”として、とても大切なサインかもしれません。
一度相談しておくと今後何かあった時も相談がスムーズです。
ぜひカウンセリングなどでお話してみてください。