現代社会は他者からの評価によって多くの部分が成り立っています。
学校では先生から評価され、仕事では上司から評価され……周りから少しでも高く評価されようと頑張ることも少なくありません。

ただし、他人の評価を受けなければ不安になってしまうようになると、だんだんと「生きづらさ」を感じるようになります。
そしてそれは共依存的な関係性へとつながっていきます。

では、共依存とはどんな状態で、どんな特徴があるのでしょうか?

共依存ってどんな状態?

共依存という言葉が出てきたのはアルコール依存症から

共依存という言葉は、未だ明確な定義が成されていない曖昧な概念となっています。

元々はアルコール依存症の患者の回復支援から派生した考え方です。

例えば、アルコール依存症の患者の周りにいる人間が「この人はお酒さえなければいい人」と甲斐甲斐しくアルコール依存症患者の世話をやき、面倒をみます。
この面倒をみる人、主に家族のことを、イネイブラーと呼んでいました。
イネイブラーが面倒をみてくれることによって、アルコール依存症患者は自分の依存症で困る経験を得ないためにますますアルコールにのめりこんでしまう、という悪循環が起きます。

これは、当初依存症家族としての問題であると考えられていたのですが、イネイブラーの変化のための支援に取り組んでいる中で、イネイブラー自身にも深刻な問題があるのではないかということが浮かんできました。

そのため、彼ら自身も問題を抱えている当事者として、共・アルコール依存症(コ・アルコホリック)と呼ばれるようになりました。
さらに、この問題はアルコール依存症のみに関わらず、他の依存症の周辺にも同様にみられることが分かってきたため縮めて「共依存症」とあらわされるようになったのです。

つまり、「共依存」といった時に表す概念は

・何かの物事に依存している人と、その人のために尽くしてしまう人の関係性
・他者からの評価を得ることでしか自分を安定させることが出来ない個人の問題

という2つが存在しているため、どちらを指しているのかを文脈から判断しなければならず、曖昧になっていると考えられます。

共依存は他の依存症の基盤となっている?

共依存、という概念が明らかにされると、大きな発想の転換が行われました。

それまで、依存症者の周りに共依存症者がみられたことから、依存症者への反応として共依存という状態が出てくると考えられていましたが、A.W.シェフという人が共依存こそが根源的な問題であり、そのうえに他の依存症があると発想を180度転換させました。

シェフは、何かの物質やプロセスへの依存は、あくまでも二次的なものであり、その根底には共依存という人間関係への依存があるといいます。

共依存という概念自体はなんらかの疾患であるわけではなく、その傾向は全ての人が多かれ少なかれ持っていると考えられます。
ただし、それが生活の中でなんらかの問題を引き起こしているのならば、共依存は対処していかなければならない課題となります。

共依存的な人の特徴

以下に代表的な共依存的な人の特徴を挙げます。
当てはまる項目が多い方は、共依存的な関係性を持ちやすい方かもしれません。

・自分を犠牲にしても、相手を助けたり世話をしたりしようとする

・他者にとっていい人であろうとし、「ノー」ということが出来ない

・自分に自信がなく、他者に求められるために努力をする

・「こうあるべきだ」「こうしないといけない」という気持ちが強い

・相手の気分に振り回されやすく、相手の機嫌が悪いのは自分のせいだと感じてしまう

・相手の抱えている問題を、自分の問題であるように感じて、取り組もうとする

・自分の周りで問題が起こっているのに、大したことがないと考える

・相手の行動や感情・考え方などを変えようと努力する

・周りの様子を敏感に察知し、先回りして動こうとする

・相手にネガティブな感情を抱かれることを恐れる

・自分は犠牲者・被害者であると感じ、弱々しく振舞う

・自分がどうしたいかよりも、相手がどうしたいかの方が重要だ

どうでしょうか?
これらの項目は、もしかしたら思い浮かべる相手が誰か、によっても異なるかもしれません。あの人に対しては共依存になりやすいけど、この人に対しては全然そんなことない、といったことが共依存という問題では起こりうるのです。

しかし、問題が起こっている相手が少なからずいるのであれば、他の人とはうまくいっていたとしても、対処を考える必要があるかもしれません。

共依存の関係性が維持される要因

上記の特徴を見て、感じた人もいるかもしれません。

共依存的な人は、<自己犠牲的に尽くそうとする部分>と<自己中心的に他者を操作しようとする部分>という
パッとみると矛盾する側面を持っています。

表面的には、他者に必要とされるため、他者の好意を得るために自分を犠牲にして相手に尽くします。
しかし、その根底には自分自身の存在を認められたい、そのために他者をコントロールしたいという自己のために相手をコントロールしようという欲求が存在しているのです。

「相手のため」と言いながらも、その実は自分が必要とされるためであることから、相手が自分の抱えている問題を解決しようとした際は、それが解決できない方向へと無意識に相手を引っ張ってしまいます。
そうして、解決しないようにしているのは自分自身であるにも関わらず、問題が解決されないと困っているのです。

共依存の状態から回復していくために

共依存の状態から回復していくためには、まず相手に対して行っているコントロールを全てやめるところから始める必要があります。

しかし、共依存の状態の真っただ中にある時では、なにがコントロールで、なにがコントロールでないのか、ということは自分ではとても見えづらくなっていると思います。

そのため、誰かに話を聞いてもらうことが重要になります。
そしてこれは、その人間関係と全く関係ない人であるほど効果的です。

なぜならば、今起こっていることを客観的に見ることができるからです。

あなたの人間関係に囚われない全くの第三者だからこそ見える部分があり、それを話すことで意味がうまれてくることがあるかと思います。

共依存の問題は、様々な人間関係の裏に潜んでいるものです。
そしてあなたが共依存的な関係を取りやすい原因は、今とはもっと別のところにあるかもしれません。

まずは一度、何もしらない人に対して話をしてみられるのが良いかと思います。
周りに思い当たる方がいなければ、カウンセリングもお使い下さい。

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