「流されやすい、自分で選べない」そんな人へ。―他人軸から自分軸へ戻るために―

「断ると嫌われないか心配…」 「いつも相手に合わせてしまう」――。

気づけば自分の気持ちよりも、周りの意見を優先して動いてしまう。そんな経験はありませんか?
人の目を気にして決められない。後から「本当はこうしたかった」と後悔する。
このような“流されやすさ”は、単なる性格ではなく、心のクセとして形づくられていることが多いのです。

◆他人の期待を優先してしまう心理

流されやすい人は、無意識のうちに「人から嫌われたくない」「否定されたくない」という思いを強く持っています。
心理学ではこれを承認欲求の過剰化と呼ぶことがあります。
小さいころから「周囲の期待に応えること」が評価されてきた人ほど、自分の意思を表に出すことに抵抗を感じやすい傾向があります。

結果として、

  • 相手の意見に合わせることで安心する
  • 「自分の考え=わがまま」だと感じてしまう
  • 失敗したとき、誰かのせいにできることで責任を回避してしまう

といった行動パターンが定着していきます。

◆「選べない人」が抱える疲れ

一見、柔軟で協調的に見える人も、内側では大きなストレスを抱えています。
なぜなら、自分の気持ちを我慢し続けることで、自己否定感が積み重なっていくからです。

「自分で決められない=自信がない」

「誰かの意見がないと不安になる」

この状態が長く続くと、

  • 常に誰かの顔色をうかがう
  • 自分の感情がわからなくなる
  • 仕事や人間関係で燃え尽きてしまう

といった“生きづらさ”が生まれます。

◆カウンセリングでできること

カウンセリングは、「どうすれば他人に流されないか」を直接教える場ではありません。
むしろ、自分の中にある声を取り戻すプロセスを一緒にたどる場所です。

カウンセリングの中では、

  • 「本当はどうしたいのか」を言葉にする練習
  • 「相手に合わせてしまう瞬間」を丁寧に振り返る
  • 「自分の意見を持つ=悪いことではない」と理解していく

といった作業を重ねます。
こうした対話の積み重ねが、「他人軸」から「自分軸」への切り替えを助けてくれます。

◆自分の意志を取り戻す小さな一歩

すぐに性格を変える必要はありません。
大切なのは、“小さな選択”を自分でしてみること。

たとえば、

  • 今日のランチを「自分が食べたいもので決める」
  • LINEの返信を「すぐに合わせず、少し考えてから返す」
  • 「どう思う?」と聞かれたときに、まず自分の意見を言ってみる

こうした日常の小さな選択を積み重ねることで、少しずつ「自分の感覚」を取り戻すことができます。

◆カウンセリングを受けるタイミング

「他人に合わせることが楽じゃなくなった」と感じたとき。
「もう少し自分を大切にしたい」と思ったとき。

それが、カウンセリングを受ける良いサインです。
流されやすさは、“弱さ”ではなく、“優しさ”の裏返しです。

ただ、その優しさが自分を苦しめているなら、自分へのやさしさを取り戻すのことも必要です。

◆おわりに

「誰かに合わせる」ことが悪いわけではありません。
でも、自分の選択を誰かに委ねたままでは、人生のハンドルを握れない。
カウンセリングは、そのハンドルをもう一度自分の手に戻すためのサポートです。

少し勇気を出して、“自分の意思で選ぶ”ことを始めてみませんか。
その一歩が、他人の言葉ではなく“あなた自身の声”を取り戻すきっかけになるはずです。