性犯罪の再犯防止のためのカウンセリング:共感能力の必要性

◆性犯罪と共感能力:カウンセリングが変える可能性

性犯罪という重いテーマを考えるとき、被害者の痛みや社会への影響に目が行きがちです。
もちろん、それらは非常に重要な視点です。

しかしこの記事では少し違う角度から考えてみたいと思います。
性犯罪は再犯率が高い犯罪で、同一の加害者が何度も繰り返してしまうのです。

性犯罪を繰り返してしまう・・・そんな加害者側からの角度でお話していきたいと思います。
特に、「共感能力」と呼ばれるものに焦点を当ててみます。

共感能力って何?

共感能力とは、簡単に言うと「他人の気持ちを理解し、感じる力」のことです。
誰かが悲しんでいるときに「つらそうだな」と心から思えたり、喜んでいる人に一緒に気持ちを共有する力です。
この能力は、私たちが社会でうまくやっていくために欠かせないものです。

しかし、性犯罪の加害者には、この共感能力が欠けている、あるいは非常に弱いケースが多いと言われています。
被害者の恐怖や痛みを想像できず、自分の欲望や衝動を優先してしまうのです。
これは、単なる「性格の問題」ではなく、もっと深い心の仕組みに関係していることがあります。

なぜ共感能力が欠けるのか?

共感能力が育たない理由は人によって異なります。
子どもの頃に十分な愛情や安心感を得られなかったり、感情を表現する機会が少なかったりすると、他人を理解する力が育ちにくいことがあります。
親からの関わり方が一方的で指導的だったり、暴力による支配を受けていたり、感情や言葉で理解する力を育むやり取りが少なかった場合、この共感能力は乏しくなります。

また、ストレスやトラウマ、精神的な問題が絡むこともあります。
性犯罪に至る背景には、こうした複雑な要因が絡み合っていることが多いのです。

ただし、ここで大事なのは「共感能力が欠けている=生まれつき悪い人間」というわけではないということです。
筋肉がトレーニングによって発達しより動かしやすくなるのと同じように、脳や心も適切なサポートがあれば成長し動きに敏感にすることができるんです。

◆カウンセリングのアプローチ

そこで鍵になるのがカウンセリングです。
カウンセリングは、ただ「話を聞くだけ」ではありません。

加害者が自分の行動や感情に向き合い、被害者の視点や痛みを理解する手助けをするプロセスです。
例えば、以下のようなアプローチが行われることがあります。

・感情の言語化

「なんとなくやった」や「なんかモヤモヤして」など自身の漠然とした感覚を言葉にする言語化を行います。
訳の分からない漠然としたコントロールできない思いを、コントロールできるものに変換する作業です。
自分の感情を言葉にする練習を繰り返し、感情をコントロールする方法を学んでいきます。

・共感的理解を深める

被害者の立場を想像するトレーニングで、相手の気持ちを体感します。
とはいえ、性被害の気持ちなんて想像が難しいと感じる方もおられるでしょう。
自身の生活の中で、適切な例や状況を用いて表面的な理解ではなく、共感的理解を深めるサポートさせていただきます。

・認知の歪みの修正

心のどこかではダメなことをしているという感覚があり、その罪悪感を消すために自身の加害行動を正当化しようとします。
そうして歪んだ思考パターンが根付き、客観的な観点を持てず、性犯罪を繰り返してしまいます。
例えば、「相手もそう嫌がっていなかったはず」「短いスカートを履いていたから」などが代表例です。
本当にそうなのか見直し、現実的な視点に変えていくのを語りの中で自然に行います。

こうしたプログラムを通じて、加害者は少しずつ「他人の痛み」を理解する力を育てていきます。
これは簡単なことではありませんし、すぐに習得できるようなものでもありません。
時間もかかるし、本人の努力も必要なのです。
しかし、再犯率を下げるためには罰則よりもカウンセリングでの取り組みが大きな効果を与えることが報告されています。

◆加害者本人やその周囲の人が考えるべきこと

「性犯罪の加害者にカウンセリングなんて必要?」と思う人もいるかもしれません。
確かに、心に傷を負った被害者の支援が最優先であるべきです。

しかし、加害者の共感能力を育て再犯を防ぐことは、結果的に社会全体の安全につながります。
誰もが安心して暮らせる社会を目指すなら、加害者の「更生」も見逃せないテーマです。

もちろん、カウンセリングだけで全てが解決するわけではありません。
法的な責任、教育、予防策など、いろんなアプローチが同時に必要です。
しかし、性犯罪の根本的な原因にアプローチする一つの方法として、共感能力を育てる取り組みは欠かせません。

◆加害者のための、再犯させないカウンセリングを

性犯罪は、被害者だけでなく、加害者やその家族や社会全体に深い傷を残します。
その傷を癒し、未来の悲劇を防ぐために、共感能力を育てるカウンセリングは大きな可能性を秘めています。

もしここまで読まれた方の中で、

  • 「再犯してしまうのが怖い」
  • 「自分も性犯罪をしてしまうのではないか」
  • 「おおごとになる前に辞めなければ…」

と感じられた方がいらっしゃいましたら、まずは一度ご相談ください。
あなたの勇気ある第一歩が、一人でも多くの被害者をなくし、あなた自身も苦しまないよう未来を変えることが出来ます。

 

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