芸術療法の概要

芸術療法は、以前は絵画療法として絵画を用いたものを指していましたが、現在では絵画だけで
なく、音楽、詩歌、文芸、ダンス、箱庭、心理劇、陶芸、園芸など、表現活動を通して行う
心理療法全般を指すようになってきています。

芸術療法では、自己表現などを通じ、自己理解を深めたり、言葉にならないような自身の心の
中身を表現することにより、精神的な安定をはかったり、自己理解や自己実現につなげる目的で
活用されています。
また、アートセラピーは、五感を刺激され、五感の活性化にもつながることから、子どもの
情操教育や、高齢者の介護予防・レクレーションなどにも取り入れられています。

芸術療法の理論

先述しました通り、芸術療法は、芸術的活動・表現活動を通して行われる心理療法全般を指して
いるため、理論は様々です。しかしながら、これらの根幹には、言葉にならないような感情や
想いを表出させることへの一助となると共に、それらを表現することにより得られる
「カタルシス効果(注)」や、制作や鑑賞による治癒効果などを狙って行われています。

また、他の療法などを行う際、クライエントのことをカウンセラーが知るため一つのツール
として使われたりもしています。なぜなら、クライエントの心の内面をその作品に投影されて
いると考えられるためです。

芸術療法のカウンセリングでの活用

他の技法などに比べ、芸術活動は非常に幅広い人に対応可能です。
老若男女を問わず、様々な病気、自己啓発や認知症予防など、様々な場面で活用されるシーンは
広がっています。
また、他の精神療法のように、ダイレクトに内面の辛いところへと触れることなく表現ができる
というメリットがあります。
しかしながら、治療では、自身の内面と向き合いながらの制作となることも多く、クライエント
に負担がかからないように行うことが求められます。

(注)カタルシス効果 心の浄化作用とも言われている。抱えている悩みや苦しみ、感情などを言葉などで表現する
           ことで意識化され、発散されること。