催眠療法の概要

催眠療法とは、催眠現象を利用した心理療法のことを指します。
治療目的でなくテレビなどのショー目的に行われているものは、催眠術と言われ、区別されています。

催眠療法の歴史は、心理療法の技法の中でも最も古いものです。
それこそ、催眠状態であるという認識がされていないものであれば、催眠を用いた治療は、
古代より行われています。

科学的に執り行われるようになった催眠療法の始まりは、
18世紀後半に、ウィーンの医師のメスメルが唱えた「動物磁気説」を基に行われた治療行為です。
この「動物磁気説」は、催眠そのものを立証したものではなく、
メスメルが提唱した説に基づいて行われた治療が、実は催眠効果を用いた治療であった
というもので、動物磁気説の調査委員会にて、動物磁気説に基づいた治療結果は、
人間の想像力によって引き起こされる現象であり、動物磁気の存在を証明するものではない。
と、結論付けられています。

その後、19世紀にイギリスのブレイドにより、言語を用いて催眠状態を引き起こす、
「言語暗示法」の完成により、催眠療法の基礎がつくられたと言えます。

催眠とは

催眠という言葉には、催眠に誘導するための技法と、それによって生じる状態2つの意味があります。

人の意識状態を脳波で表した際、脳波には、
ベータ波:覚醒状態
アルファ波:リラックスした気持ち良い状態
シータ波:比較的浅い睡眠
デルタ波:ごく深い眠り
という波形があります。

催眠とは、この脳波でいうと、アルファ波とシータ波の中間状態を指します。
これは、日常生活でも体験している状態で、布団の中で徐々に目覚めていく際などでも、
アルファ波とシータ波の中間点を体験していたりします。
この状態にとどまり続けることを催眠状態と言い、意識がはっきりとしている状態ではないが、
ある程度の覚醒はしているという状態です。
この状態の時は、暗示にかかりやすい状態にあるだけでなく、リラックス効果、
完全に意識がある状態の時には思い出せないようなことを思い出すなど、様々な効果が期待
できます。

催眠療法の分類

催眠療法には、狭義の催眠療法としては、
暗示を用い、症状の消失や緩和を図る暗示催眠
リラックス効果やストレス軽減を図るリラックス催眠
イメージの中での体験や暗示の併用により、リラックスや情動、行動の変容を図るイメージ催眠
が、あります。

広義の催眠療法としては、ある条件下において、他の心理療法の効果を促進させることができ、
精神分析、行動療法、認知行動療法などと組み合わせて利用されることもあります。
また、このほかにも、心身の変容に同時にアプローチをすることができる利点を生かし、
医療分野やスポーツ、芸術、美容、教育、健康など、様々な分野で活用されています。

催眠の問題点

催眠状態で得られる体験は、ものによっては神秘体験として感じられるようなものも多数あります。
そのため、相手を催眠状態にし、その状態の中で得られた体験を奇跡などと結び付けるなど、
悪用されやすい一面があります。

カウンセリングと催眠療法

催眠療法を取り入れているカウンセリングルームは非常に多くあります。
また、催眠療法として標榜をしていなくとも、
自律訓練法などのリラックス催眠を取り入れているカウンセリングルームは非常に多くあり、
催眠療法の一部は、非常に身近なものになっています。
しかしながら、催眠療法を執り行う中で、催眠中の不用意なカウンセラーの発言により、
過去の体験がゆがめられたり、否定的な感情が増幅されてしまうなどというケースが散見されます。
そのため、もし、催眠療法をご検討の場合は、
療法やカウンセリングルームをより慎重に選ぶ必要があると言えます。